エコアクション21とは?ISO14001との違いと費用を知る前の基本
エコアクション21とは、環境省が策定した、中小事業者でも取り組みやすい環境経営システムと、その第三者認証・登録制度のことです。環境への負荷を把握して目標を立て、行動し、結果を「環境経営レポート」として公表するところまでを一つの仕組みとして示しています。
「取引先から環境への取り組みを聞かれた」「ISO14001は負担が大きそうで踏み出せない」という中小企業の経営者・総務担当者にとって、気になるのはエコアクション21とISO14001の違いと、認証・登録にかかる費用でしょう。この記事では、エコアクション21の運営主体である中央事務局(一般財団法人 持続性推進機構)や環境省の公開情報で確認できた内容に絞って、制度の概要、ISO14001との違い、費用、取得のメリット、取得までの流れを整理します。
制度の位置づけ
環境省は、エコアクション21を、中小事業者等の幅広い事業者が「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」簡易な方法として策定しました。環境省の資料では、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価、環境報告をひとつに統合したものと説明されており、策定は1996年、現行のガイドラインは2017年版です。
認証・登録を行うのは、エコアクション21中央事務局(一般財団法人 持続性推進機構)です。中央事務局のウェブサイトのトップページには、認証・登録事業者数として7,501社と掲載されています(2026年10月13日に確認。数値は更新されるため、最新の数は公式サイトでご確認ください)。
取り組む内容の特徴
中央事務局の解説では、エコアクション21の特徴として次の点が挙げられています。
- 二酸化炭素排出量、廃棄物排出量、水使用量を把握する対象として定めている
- 省エネルギー、廃棄物の削減・リサイクル、節水などの取り組みを求めている
- 環境経営レポートの作成と公表を必須の要件としている
- 事業者の取り組みを第三者が評価する
- 全組織・全活動(事業活動と製品・サービス)を対象にする
つまり、エコアクション21は「環境への取り組みを書類で整える」だけでなく、CO2排出量などの数字を把握し、公表するところまでを求める制度です。CO2排出量の把握は、取引先から算定を依頼されたときの準備にも直結します(取引先からCO2排出量の算定を依頼されたときの手順も参考にしてください)。
エコアクション21とISO14001の違いは何か
エコアクション21とISO14001の違いは、制度の成り立ちと審査・更新の仕組みにあります。エコアクション21は環境省が策定した日本の制度で、ISO14001を参考にしながら中小事業者が取り組みやすい形に定めたものです。一方、ISO14001は環境マネジメントシステムの国際規格です。
ISO14001とは
ISO14001とは、組織が環境マネジメントシステムを確立し、文書化し、実施し、維持すること、およびその有効性を継続的に改善するために要求される規格のことです。日本産業標準調査会(JISC)によると、日本ではISO14001に一致した日本産業規格としてJIS Q 14001が制定・改正されています。ISO 14001:2026は2026年4月に発行されており、JIS Q 14001も2015年版から改正されています。
比較のポイント
確認できた公開情報をもとに、主な違いを並べます。
- 策定主体:エコアクション21は環境省、ISO14001は国際標準化機構(ISO)の規格
- 位置づけ:エコアクション21は中小事業者にも取り組みやすい環境経営システムとして、ISO14001を参考に規定したもの
- 公表の扱い:エコアクション21は環境経営レポートの作成と公表が必須の要件
- 認証・登録の有効期間:エコアクション21は2年ごとの更新で、約1年後に中間審査、更新時に更新審査を受ける
- ISO14001の審査サイクル:認証機関の案内(JICQA)では、登録証の有効期間は3年間、少なくとも年1回の維持審査(サーベイランス審査)と、3年に1回の更新審査がある
- 費用:エコアクション21は審査料の単価と登録料が中央事務局のサイトで公開されている。ISO14001は認証機関ごとに費用が異なるため、複数の認証機関から見積もりを取って比較する
どちらが優れているかという問いではなく、取引先や自治体が何を求めているかで選ぶのが現実的です。取引先や発注元が「ISO14001の認証」を条件にしている場合は、エコアクション21では要件を満たさないことがあるため、先に取引先へ確認することをおすすめします。
エコアクション21の認証・登録にかかる費用はいくらか
エコアクション21の認証・登録にかかる費用は、審査費用と認証・登録料の2つで決まり、いずれも従業員数などの規模で変わります。審査費用の基本単価は1人日あたり50,000円(消費税除く)で、規模ごとに標準の審査工数(人日)が定められています。
審査費用の目安
中央事務局の費用ページでは、標準審査工数が次のように示されています(現地審査の人日を含む合計の人日)。
- 製造業・建設業等(環境負荷が大きい事業所):30人以下は2人日、31〜60人は2.5人日、61〜100人は3人日
- サービス業・流通業等(環境負荷が少ない事業所):30人以下は2人日、31〜60人は2人日、61〜100人は2.5人日
たとえば従業員30人以下の事業所なら、2人日×50,000円で審査費用は100,000円(消費税別)が目安になります。中央事務局のよくある質問でも、従業員30人の場合の例として「毎年の審査費用が10万円、2年間の認証・登録料が10万円」と案内されています。
認証・登録料(2年分)
- 従業員10人以下:50,000円+消費税
- 11〜300人:100,000円+消費税
- 301〜500人:150,000円+消費税
- 501〜1,000人:200,000円+消費税
- 1,001人以上:300,000円+消費税
この登録料は、更新時の更新登録料にも同じ区分が使われています。また、中間審査では登録料はかかりませんが、別途、中間審査料がかかります。上の例を単純に合計すると、従業員30人規模では初年度に審査費用と登録料で約20万円(消費税別)が目安です。ただし、実際の工数や追加の費用は事業所ごとに異なりますので、地域事務局に見積もりを確認してください。社内で環境経営レポートや計画を作る人件費は、これらの費用には含まれません。
自治体の補助金を確認する
エコアクション21のウェブサイトには、認証取得の費用を助成する自治体の補助金の例が複数掲載されています。補助の金額や要件は自治体ごとに異なるため、所在地の自治体の公式サイトで、申請の時期と対象条件を事前に確認してください。
エコアクション21を取得するメリットは何か
エコアクション21を取得するメリットは、環境経営の取り組みを第三者に示せることと、取引・資金調達・自治体との関係で評価される場面があることです。中央事務局のウェブサイトでは、メリットが次のように整理されています。
- 総合的な環境対応:環境経営システム、環境への取り組み、環境コミュニケーションが一つに統合されている
- 経営面での効果:コスト削減、生産性の向上、目標管理の改善につながる
- 取引条件への対応:大手企業の要求への対応や、自治体の補助金、入札での評価(加点)の機会がある
- 金融機関の関連融資:エコアクション21の認証・登録事業者向けの優遇融資を扱う金融機関がある
- 社会からの信頼:第三者機関の認証により、社会的な信頼を得られる
- ロゴマークの使用:認証・登録事業者は、会社の資料や看板などにロゴマークを使える
国の制度でも位置づけられています。エコアクション21の政策的位置づけを整理した中央事務局のページによると、優良産廃処理業者認定制度(2011年4月開始)では、ISO14001やエコアクション21等の認証取得が環境保全への取り組みの基準として要件になっています。産業廃棄物処理業の事業者にとっては、取得の意味が特に大きい分野です。
エコアクション21の取得までの流れと期間
エコアクション21の取得は、社内で環境経営システムを構築して運用する段階と、審査を受けて認証・登録を受ける段階の2つに分かれます。ここでは中央事務局の「取り組み方」と「認証・登録までの流れ」のページをもとに、順番に整理します。
ステップ1:取り組みを決め、体制をつくる
まず、代表者がエコアクション21に組織全体で取り組むことを決め、対象範囲を明確にします。そのうえで、取り組むための実施体制を決めます。
ステップ2:初期調査で環境負荷と法規制を把握する
事業活動に伴う環境負荷、環境への取り組み状況、組織に適用される環境関連法規などを把握します。たとえば、電気・ガス・燃料・水の使用量や廃棄物の排出量を、請求書などの記録から集める作業が中心になります。
ステップ3:環境経営システムを構築し、PDCAを回す
ガイドラインの要求事項に基づいて環境経営システムを構築し、環境経営計画の策定(Plan)、実施(Do)、取り組み状況の確認・評価(Check)、全体の評価と見直し(Act)のサイクルで運用します。
ステップ4:環境経営レポートを作成して審査を申し込む
PDCAの結果を環境経営レポートとして作成・公表します。審査の申し込みでは、審査申込書と環境経営レポートを地域事務局に送ります。
ステップ5:審査を受けて認証・登録される
認証・登録までの流れは、次のとおりです。
- 審査の申し込み(審査申込書と環境経営レポートを地域事務局に送付)
- 担当審査員の通知
- 審査員への必要書類の送付
- 書類審査と現地審査の実施
- 審査結果の報告(審査員から地域事務局へ)
- 判定結果の報告(地域事務局の判定委員会から中央事務局へ)
- 判定結果の通知(中央事務局から受審事業者へ)
- 認証・登録契約の締結と料金の納付
- 認証・登録証の送付とロゴマークの使用承認
認証・登録後は2年ごとの更新となり、登録から約1年後に中間審査があります。取得までに必要な期間は、事業の規模や準備状況によって変わるため、導入セミナーや地域事務局への相談で、現実的な日程を確認するとよいでしょう。
ネクストプレナーズの見解:最初に決めるのは「誰に何を示すか」
中小企業がエコアクション21とISO14001のどちらかを検討するときは、制度の優劣を比べる前に「誰に何を示したいのか」を決めることをおすすめします。取引先が特定の認証を条件にしているのか、自治体の入札や補助金で評価を受けたいのか、まずは環境経営の基盤をつくりたいのかで、選ぶべき制度は変わると考えます。
また、エコアクション21は取得そのものがゴールではなく、CO2排出量や廃棄物量を継続して把握する仕組みづくりが本質だと考えます。認証・登録を目指す前に、電気・ガスの使用量だけでも1年分そろえてみると、自社の負担感が具体的に見えてきます。
よくある質問
エコアクション21とISO14001はどちらを取得すべきですか?
取引先や自治体が求める認証によって決めるのが基本です。エコアクション21は中小事業者が取り組みやすいように環境省が策定した制度で、ISO14001は国際規格です。取引先がISO14001を条件にしている場合は、先に確認してください。
エコアクション21の認証・登録にはいくらかかりますか?
従業員30人規模の例では、審査費用が年10万円、2年分の認証・登録料が10万円です(いずれも消費税別)。規模や業種で標準審査工数が変わるため、中央事務局の費用ページで確認し、地域事務局に見積もりを依頼してください。
エコアクション21の認証・登録の有効期間はどのくらいですか?
2年ごとの更新です。登録から約1年後に中間審査があり、更新時に更新審査を受けます。中間審査には別途、中間審査料がかかります。
エコアクション21の取得に補助金はありますか?
自治体によっては、認証取得の費用を助成する制度があります。中央事務局のウェブサイトに複数の自治体の例が掲載されていますが、金額や要件は自治体ごとに異なるため、所在地の自治体の公式サイトで確認してください。
従業員が数名の小さな会社でも取得できますか?
小規模な事業者向けの料金区分が設けられています。認証・登録料には従業員10人以下の区分(50,000円+消費税)があり、審査の標準工数にも30人以下の区分があります。取得の条件や進め方は、地域事務局にご確認ください。
エコアクション21を取ると、取引先へのCO2排出量の報告も済みますか?
済むとは限りません。エコアクション21ではCO2排出量などを把握して環境経営レポートで公表しますが、取引先が求める算定の範囲や回答形式は依頼ごとに異なります。まずは依頼内容を確認してください。
監修
監修:仙頭 武宏(株式会社ネクストプレナーズ 代表取締役社長)
東京工業大学(現・東京科学大学)工学部制御システム工学科卒業。日本オラクル株式会社でエンジニア、コンサルタントを経て経営企画室マネージャを務める。一橋大学大学院商学研究科(現・一橋ビジネススクール)経営学修士(MBA)修了。独立コンサルタントを経て、2012年より株式会社ネクストプレナーズ代表取締役社長。
出典
- エコアクション21中央事務局(一般財団法人 持続性推進機構)トップページ(運営主体・認証・登録事業者数)
- エコアクション21「エコアクション21の特徴」(ISO14001を参考にした規定・把握する項目・環境経営レポートの公表)
- エコアクション21「エコアクション21に取り組むメリット」
- エコアクション21「エコアクション21の取り組み方」
- エコアクション21「認証・登録までの流れ」
- エコアクション21「認証・登録の費用」(審査費用・認証・登録料)
- エコアクション21「中間・更新審査について」
- エコアクション21「よくある質問」(従業員30人の場合の費用例)
- エコアクション21「自治体による支援と優遇制度などの情報」
- エコアクション21「エコアクション21の政策的位置付け」(優良産廃処理業者認定制度)
- 環境省「エコアクション21」(策定の目的・制度の概要・2017年版)
- 日本産業標準調査会(JISC)「ISO 14001について」(規格の定義・ISO 14001:2026)
- JICQA「ISO14001」(登録証の有効期間・維持審査・更新審査)